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【日産 新型エルグランド】「iPhone音量ボタン3回分の静寂」とフラットな加速。開発陣が明かす極上空間の真髄

「ギラギラしない」という日産の美学と、極上の居住性

日産が満を持して送り出した新型エルグランド。その開発テーマは「大切な人たちとの遠出を楽しめる、プレミアムグランドツーリングミニバン」だ。開発陣が目指したのは、単なる見せかけの豪華さではない。「乗る人みんながくつろげる 極上の快適空間」と「どこまでも走りたくなる 運転の楽しさ」の高次元での融合である。
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実車を目の前にしてまず唸らされるのは、その佇まいだ。昨今のプレミアムミニバン市場は、押し出しの強さを競う「ギラギラ顔」が席巻している。しかし、新型エルグランドは違う。エンジニアが「プレミアムというからには内装を含め、あまりギラギラはしていませんが、上品でくつろぎやすい快適な空間を目指しました」と語る通り、知的で洗練された存在感を放っているのだ。

室内へと足を踏み入れると、そこには「極上」という言葉がふさわしい居住空間が広がっている。単に広いだけではない。開発陣がこだわったのは「長距離走っても乗っても疲れづらい、どこまでも走りたくなる、いつまでも乗っていたくなるミニバン」というグランドツーリング性能だ。しなやかなシートに身を委ねれば、日常の喧騒から切り離されたかのような安らぎに包まれる。

「Gが落ち込まない」第3世代e-POWERの洗練

アクセルを踏み込んだ瞬間、この巨体が嘘のように軽やかに押し出される。搭載される第3世代e-POWERは、最大トルク500Nm以上という驚異的なアウトプットを誇る。トルクウェイトレシオは現行モデル比で20%も向上しているが、真の凄みはその加速の「質」にある。エンジニアは他社製ミニバンとの違いをこう指摘する。
「ライバル車は一度Gが上がって高くなるのですが、落ち込みはもっと早く訪れてしまいます。するとピッチングという前後の揺れが起きやすくなり、乗り心地にも影響があります」。対して新型エルグランドは、加速Gがすばやく立ち上がり、その力強さが長く続くよう綿密にチューニングされている。結果、体感的にも非常に力強く、かつピッチングの少ないフラットな加速を実現しているのだ。

5dBの静寂は「iPhoneの音量ボタン3回分」

室内は極上の静寂に包まれている。高性能遮音ガラスや遮音材の最適配置による高遮音ボディに加え、エンジン音とロードノイズを高精度に検知して打ち消す新世代アクティブノイズコントロールが効いている。これにより、室内音はライバル車比で5dBも低減された。「5dBと言われてもピンとこないかもしれませんが、iPhoneで音楽を聴いている時に音量ダウンのボタンを3回押したときの違いに相当します」。エンジニアのこの秀逸な例えを聞けば、その圧倒的な静粛性の進化幅がリアルに想像できるはずだ。

魔法の絨毯か、スポーツセダンか。シャシー制御の妙

進化したe-4ORCEとインテリジェントダイナミックサスペンションの統合制御が生み出す走りは、まさにマジックだ。路面の大きなうねりや高速道路の継ぎ目を越える際、不快な上下動を現行比で10%、乗り越え時の振動に至っては30%も低減させている。用意された6つのドライブモードのうち、とくに注目したいのが「COMFORT」と「STANDARD」の違いだ。
エンジニアによれば、COMFORTはサスペンションの減衰を極力発生させず、足をしなやかに動かす「極上の柔らかさ」を追求しているが、うねりの大きな路面ではバネ上が揺れやすくなるため、瞬時に減衰を高める制御も入れているという。
しかし、「一番バランスが取れていて、どんな道でもフラットな姿勢を保てるのは、実はSTANDARDなんです」という開発陣の本音には、基本セッティングへの絶対的な自信が窺える。さらに、同乗者が最も恩恵を感じるのが日産初採用の「スムースストップ」だ。停車直前のブレーキ圧を自動で調整し、不快な揺り返し(カックンブレーキ)を見事に打ち消す。ただし、これにも日産らしい安全への哲学がある。「緊急的にブレーキを踏んで高い減速Gが発生した時には、自動的にキャンセルされて制動力を優先します」とエンジニアは語る。単なる豪華な移動空間にとどまらず、ドライバーには操る喜びを、同乗者には極上の快適性と安全を提供する。新型エルグランドは、日産が「走りのプライド」を懸けて作り上げた、真のプレミアムグランドツーリングミニバンといえるであろう。
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相澤隆之

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