AMG以前の時代に君臨した「世界最速のセダン」
今から51年前となる1975年に登場した「メルセデス・ベンツ450SEL 6.9」。AMGが直系ブランドとなる以前、メルセデス自身が威信をかけて開発した究極のハイパフォーマンス・セダンである。巨大な6.9L V8エンジンと革新的なハイドロニューマチックサスペンションがもたらす“スーパーセダンの原点”の真価に迫っていく。
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W116シリーズの頂点、燦然と輝く「6.9」のエンブレム
1975年、メルセデス・ベンツはSクラスの歴史において極めて重要な1台を送り出した。W116シリーズの頂点に君臨した「450SEL 6.9」である。トランクリッド右の「6.9」のエンブレムは、まさにそのシンボルである。
現在ではAMGがメルセデス・ベンツの高性能モデルを象徴しているが、当時はまだAMGがメーカー直系ブランドとなる以前の時代だった。そのため450SEL 6.9は、メルセデス・ベンツ自身が開発した究極のハイパフォーマンス・セダンとして特別な存在感を放っていた。
一見すると端正な高級セダン。しかしアクセルを踏み込めば、スポーツカー顔負けの加速性能を発揮する。その圧倒的な実力から、多くの自動車ジャーナリストは「世界最高のセダン」「世界最速のセダン」と絶賛した。450SEL 6.9は、今日のS 63 AMGやS 65 AMGへと連なる「スーパーセダン」の原点なのである。
安全性・快適性・操縦性を高次元で融合させた初代Sクラス
W116シリーズは1972年に登場した。これまでメルセデス・ベンツの最上級車は社内的に「Sクラス」と呼称されていたものの、その名称を正式に与えられたのはこのW116シリーズが初めてであった。
安全性、快適性、操縦安定性のすべてを高いレベルで実現したW116シリーズは市場で高い評価を受け、450SEは1974年の「ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞する。その頂点として1975年5月に投入されたのが450SEL 6.9だった。ボディはロングホイールベース仕様のみ。後席空間を重視したショーファーカーとしての資質を持ちながら、同時にスポーツカー級の動力性能を与えられていたのである。
単なる大排気量にあらず。ドイツ流グランツーリスモを体現した心臓部
450SEL 6.9最大の魅力は、その名の由来となった6.9L V8エンジンにある。搭載されるM100型ユニットは、伝説的な最高級リムジン「メルセデス・ベンツ600/W100」に搭載されたエンジンを発展させたものだった。
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