規格外の走りを見せる新型EV
メルセデスAMGは2026年7月9日、新型EVスポーツモデル「メルセデスAMG CLA 45 4MATIC+」のセダンおよびシューティングブレークを発表した。
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新開発アキシャルフラックスモーターと全輪駆動システム
同モデルは、3基のアキシャルフラックスモーターを搭載し、最高出力500kW(680ps)、0-100km/h加速2.7秒(1フィート・ロールアウト時)という、同セグメントにおいてトップクラスの動力性能を誇る。ベースとなる「メルセデス・ベンツ CLA」は、欧州カー・オブ・ザ・イヤー2026受賞、2025年のEuro NCAPテストで最高評価の安全性を獲得するなどしている。以下、主要な技術や特徴について解説していこう。
このモデル最大のトピックは、リアアクスルに2基、フロントアクスルに1基配置された、合計3基のアキシャルフラックスモーターだ。ステーターを左右2つのローターで挟み込む「H型配置」を採用することで、磁束の理想的な伝達を可能にし、大幅な小型・高出力化を実現したという。フロントモーターの幅はわずか9cm、リアモーターは約8cmというコンパクトさだ。
各モーターは「ハイパフォーマンス・エレクトリック・ドライブ・ユニット(HP.EDU)」に統合されている。リアのHP.EDUには2基のモーターとコンパクトな1速プラネタリーギアボックスが収められ、液冷式の炭化ケイ素(SiC)インバーターを備える。
フロントモーターは最大225kW(360ps)を発揮するブースターとして機能し、低負荷時にはディスコネクトユニット(DCU)がモーターを瞬時に切り離して、引きずり損失を最小限に抑える仕組みとなっている。
これら3基のモーターは完全に独立して制御され、新開発の完全可変全輪駆動システム「AMG Performance 4MATIC+」を構成する。後輪の左右間でトルクを配分するトルクベクタリング機能も搭載し、走行状況に応じて後輪駆動と全輪駆動をシームレスに切り替える。
800Vアーキテクチャと新世代バッテリー
バッテリーは、使用可能容量94kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載している。グラファイトに酸化ケイ素を混合したアノードを採用し、従来のグラファイト・アノードに比べて重量エネルギー密度を最大20%向上させたという(体積エネルギー密度は680Wh/l)。これにより、WLTPモードの航続距離はセダンが670km以上、シューティングブレークが640km以上と発表されている。
また、800Vのアーキテクチャを採用しており、最大330kWのDC急速充電に対応。充電残量10%から80%までの充電を約22分で完了し、10分間の充電で270km以上の走行分の電力を補給可能だ。さらに、外気、駆動ユニットの廃熱、バッテリーの廃熱の3つを利用するマルチソース・ヒートポンプを標準装備し、急速充電前の温度管理や車内の空調効率を最適化している。
シャシー性能とAMG DYNAMIC SELECT
足周りには、スチールスプリングとアダプティブ3ウェイ・アジャスタブル・ダンピングを組み合わせた「AMG RIDE CONTROLスポーツサスペンション」が採用された。フロントは鍛造アルミ製リンクを用いた3リンク式、リアはマルチリンク式を採用し、ダンパー特性は「Comfort」「Sport」「AMGFORCE S+」の3段階から選択可能。
ブレーキは、フロントに390×36mmのベンチレーテッドディスクと6ピストン固定キャリパー、リアに350×22mmのディスクと1ピストンフローティングキャリパーを装備する。
走行モード(AMG DYNAMIC SELECT)は、「Glätte(滑りやすい路面用)」「Comfort」「Sport」「AMGFORCE S+」「ECO」「Individual」の6種類に加え、「AMG DYNAMIC PLUSパッケージ」装着車にはサーキット用の「RACE」モードが追加となり、計7種類が用意されている。
また、EVでありながらエモーショナルな体験を提供する機能として「AMGFORCE S+」モードが搭載されている。これは実車の「AMG A 45 S」のエンジン音を、13個のマイクを用いて1600以上の状況で計測し、デジタルで忠実に再現したものである。
リアルタイムのミキシングシステムにより、シフトダウン時のバブリング音などを車内外に響かせる。さらに、アクティブシートシェイカーによる物理的な振動や、疑似的なシフトチェンジによる駆動力の途切れまでシミュレートされ、高性能4気筒エンジンのフィーリングを人工的に作り出したという。
アクティブエアロダイナミクスとエクステリア
エクステリアでは、10本の垂直ストラットを持つAMG専用パナメリカーナグリルが特徴的だ。空力面では、セグメント初とされるアクティブエアロダイナミクスが採用され、セダンにはアクティブリアスポイラー、シューティングブレークにはアクティブルーフスポイラーを装備。フロントのアクティブ・ラジエーター・シャッター(最大250km/hまで閉鎖可能)と連動し、空気抵抗低減やダウンフォース確保を自動で行うとのこと。
標準ホイールは19インチ(フロント:245/40ZR19、リア:265/40ZR19)で、オプションで20インチも選択可能だ。さらに、ブラックのアクセントパーツを追加する「AMG Night-Paket I / II」などの外装オプションも用意されている。
AIを統合したMBUXとインテリア
インテリアは4人乗り仕様となっており、インフォテインメントシステムには自社製OS「MB.OS」をベースとした第4世代の「MBUX」が採用された。自動車業界で初めて、ChatGPT、Microsoft Bing、Google Geminiの人工知能(AI)が統合されており、「MBUXバーチャル・アシスタント」を介して複雑な対話が可能になっている。
シートは人工皮革「ARTICO」とマイクロファイバー「MICROCUT」のコンビネーションが標準装備され、オプションでAMGパフォーマンスシートも設定される。また、車両のパフォーマンスデータをリアルタイムで表示する「AMG PERFORMANCE MENU」や、サーキットでのデータロガー機能を持つ「AMG TRACK PACE」などの専用アプリも搭載されている。
【ル・ボラン編集部より】
かつて最強の2L直4ターボが誇った「狂気」と「エレガンス」の二面性は、AMG CLA45の真骨頂であった。完全EV化で680psを得た新型だが、本質は物理的な速さではない。内燃機関の咆哮やシフトショックまで人工的に再現する執念だ。これを単なるギミックと笑うのは容易い。だがそこには、AMGの魂はエモーショナルな鼓動にあるという自負と、デジタルの力でその情緒を未来へ継承しようとするブランドの真摯な哲学がある。最新EVの洗練とガソリン車の郷愁が同居した、新時代のマスターピースだ。
【メルセデスAMG CLA 45 4MATIC+ セダン/メルセデスAMG CLA 45 4MATIC+ シューティングブレーク主要諸元(発表値)】
■全長×全幅×全高(mm):4742×1859×1469/4742×1859×1471
■ホイールベース(mm):2790
■車両重量(kg):2355/2370
■電気モーター(タイプ):3基のアキシャルフラックスモーター
■最高出力(kW/ps):500(680)
■電気モーターの連続出力(kW/ps):450(612)
■最大駆動トルク Nm:1759
■駆動方式:完全可変全輪駆動 AMG Performance 4MATIC+
■最高速度 km/h:250(AMG DYNAMIC PLUSパッケージで270)
■0-100 km/h加速(秒):2.7/3.0
■公称電圧(V):800
■バッテリー容量(kWh):94
■最大AC/DC充電電力(kW):22/330
■Cd値(空気抵抗係数):0.23/0.26
■前面投影面積(m²):2.33
■複合電力消費量(kWh/100 km)18.7-16.5/19.6-17.4
■複合航続距離 WLTP(km): 670/640
■トランク容量 VDA(L):390/450
■フランク容量(L):101
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