ウェットでも揺るがない旋回性能&制動距離40m台を記録した“S”
MERCEDES-BENZ S560 4MATIC LONG
●制動距離:47.0m ★★★★★
長年のテストを通じて、ウェット旋回ブレーキは欧州車が得意としてきたテストであり、日本車は不得意としてきた項目だ。安定性と操縦性がウェット路面でも、高度にバランスよく機能する必要があり、さすがに2.2トンを超えるSクラスに大きな期待をしていなかったが、1回目のテストからポルシェ並みのストッピングパワーを示したのは衝撃的だった。しかも操舵の正確性はスポーツカーを凌駕し、正確無比のライントレース性は実に見事で、故意にステアリングを切り込むとグイグイとノーズが内側に入る。AWDであってもアンダーステアが少なく、Sクラスの想像を超えた進化に驚いた。
BMW M760Li xDrive
●制動距離:51.5m ★★★★☆
V12エンジンのためSクラスよりも車重が重く、タイヤ溝がSクラスの7mmに対して5mm程度だったが、ネガティブな要素を差し引いても結果は悪くなかった。ABSや電子制御AWDの緻密さだけでなく、ボディやサスペンションの基本性能も高いと感じた。きめ細かいブレーキの液圧の配分に加えて、タイヤが持っている能力を見事に使いきっている。Sクラスよりもホイールベースは長いが、ステアリングのレスポンスはかなりシャープで、大きな車体を感じさせない俊敏性を持っていた。電動化に加えて、今後自動運転の時代になるからこそ、シャシーの基本性能の重要性は増していくだろう。