年7戦開催されるフィンランド選手権
沖縄は梅雨入りしたというのに、_前回までのスウェーデンに引き続き時間を少し戻して3月のフィンランド選手権の模様をお伝えしようと思います。フィンランドラリー選手権は1月に北極圏の玄関口でサンタクロース村があることで有名なロヴァニエミで開催される、ラップランドラリーを皮切りに年間7戦開催されています。うち前半の3戦がスノーラリーで残りがグラベルラリーです。
今回、僕が取材したのは第3戦イタラリー。ヘルシンキから東へ約450キロ。少し先はもうロシアとの国境にほど近いヨエンスーという小さな街が舞台です。観光でフィンランドを訪れる人は多いと思うけど、ヨエンスーまで行く人はほとんどいないだろうなあ。ヘルシンキの入国審査でも「ヨエンスー?何しに行くの?学生?」って聞かれました。あとでわかったことですが、ヨエンスーには大きな大学がふたつあり、学生街として知られているみたい。どうりで街に若者が多かったわけです。
ヘルシンキからヨエンスーまでは車でも鉄道でも5時間ほどかかります。レンタカーで移動してもいいんだけど、今回、予算と時間の都合でカタール航空の深夜便を利用してドーハ経由でヘルシンキまで移動。ヘルシンキ到着時点でヘロヘロになってることが予想されたので、鉄道で移動しました。フィンランドをはじめ、ヨーロッパの鉄道の多くはwebで簡単に予約できる上に、早めに予約するとかなりお安く買えるのでおすすめ。昼過ぎにヘルシンキに着いて暗い雪道をレンタカーで移動するリスクを考えたら鉄道が安心です。ってのは半分言い訳で鉄ちゃんなので鉄道に乗りたいだけかも。そんなこんなで約5時間の快適な鉄道の旅を堪能。ヨエンスーに着いた時はすっかり夜でした。
国内選手権とはいえさすがはラリー先進国

総合2位のエミル・リンドホルムのポロR5。父親のセバスチャンはフィンランド選手権を何度も制していて、さらにあのマーカス・グロンホルムのいとこ。そんなわけで、エミルもグロンホルムのチームから参戦しています。
フィンランド選手権は土曜の1DAYで開催されます。1日だけどそこはさすがラリー先進国。SSの距離は約100キロ。ちなみに、全日本ラリーは土日の2日間でSSの距離が100キロあるかないかってとこ。エントリー台数は約120台! 全日本の倍です。参加している車種は現役のR5車両を頂点に、インプレッサやランサーやシビックなどの日本車も多いんです。他にはエスコートやKP61スターレットのようなヒストリックカーもイマドキの車と一緒に走ってるんです。しかもこれがまた速いからびっくり!
懐かしいクルマもまだまだ現役で走る!
そして、今回のイタラリーにはトヨタの育成プログラムで修行中の勝田貴元がヤリスWRCで参戦。WRカーでの実戦デビューです。順調にスタートした勝田。相手は格下のR5車両だし、余裕で勝てるやろ!と思っていたら、好事魔多し。あれよあれよというまに空が暗くなり、午後からは地元の人もビビるぐらいのドカ雪! 路面には新雪がドンドン積もっていきます。先頭走者の勝田は雪かき役となり、ペースが上がりません。とにかくそれぐらいの勢いで雪が降ってたんですよ。除雪が間に合わず、レンタカーで一般道を普通に走るのも結構大変なほど。
そんな天候にも関わらずコース脇にはギャラリーがいっぱい。コンパクトにまとまったラリーなので簡単にアクセスできて、日本や最近のWRCでは考えられないぐらい近くで観戦できます。まったく羨ましいったらありゃしない。もちろん、近くで観戦するだけじゃなく、ちょっと離れたところで焚き火で暖を取りつつ、肉焼いて酒飲んで、みたいな人たちもいたりして、老若男女が思い思いに観戦している様子を見るにつけ、先進国は違うよなあ、と、いつものことながら感心します。
WRカーで参戦した勝田が見事逆転優勝!
さてさて、ラッセル役に悩まされた勝田ですが、何度か危ない場面があったり順位を落としたりしたけど見事逆転で優勝! WRカーでの初実戦を楽しみつつも、得るものも多く、今後の課題も見えたとコメント。次戦、リーヒマキラリーにもヤリスWRCで参戦する予定です。
帰りの飛行機は月曜日。ヘルシンキへの移動は日曜の朝なので、ラリーが終わったあとにフィンランドのカメラマン仲間達と夜の街へと繰り出しました。不慣れな異国の地で色々と助けてくれる面倒見のいいヤツらです。こじんまりした地方都市だけど、さすがは学生街。若い人たちで活気がありましたよ。昼間はあまり人がいなかったのになあ。