国内試乗

最強スポーツカー=ポルシェ911の図式はもう古い⁉ スポーツカーのベンチマークに挑む選りすぐりの最新スポーツを一挙比較試乗してみた!

乗り心地のよいコルベット

今回の4台の中で、1台だけ「なんかコレだけサルーンに乗ってるみたいだな」と思ったのがシボレー・コルベットだった。とにかくいかなる速度域でも乗り心地がすこぶるいい。GMが長年育ててきた磁性流体を使ったダンパーの最新型、マグネティック・セレクティブ・ライドサスペンションの恩恵によるものである。「TOUR」と「SPORT」の2段切り替え式だが、「SPORT」でも極端に乗り心地が悪化することなく、ばね上の無駄な動きだけを見事に抑える。スポーツカーの中ではマクラーレンのPCC(プロアクティブ・シャシー・コントロール)に迫るトップクラスの乗り心地と言える。

伝統のFRレイアウトからミッドシップへと大きく変貌を遂げ、新開発の6.2L V8NAエンジンを搭載。最新のスーパースポーツに匹敵するパフォーマンスを発揮しながら、扱いやすさと乗り心地のよさをも兼ね備える。

だからといって操縦性に難があるわけではなく、むしろ誰が運転してもハンドリングの楽しさが容易に享受できる。他の3台ももちろん楽しいのだけれど、クルマとの対話の中で、どこかドライバーの運転が試されているような感じがあって、それが適度な緊張感にも繋がる。コルベットは走り出して間もなくいい意味で緊張感が和らぎ、リラックスした状態で運転を満喫できるのである。

コルベットは、ミッドシップレイアウトの物理的優位性は有効活用しながらも、独特の乗り味を生み出している。ニュルブルクリンクでも走行テストを重ねたようだけれど、おそらく一緒に走っていたであろう911などはまったく眼中になかったのではないか、と思えるくらい我が道を行っていて、そういうところがなんとも潔く気持ちがいいスポーツカーである。

【Specification】シボレー・コルベット3LTクーペ
■全長×全幅×全高=4630×1940×1225mm
■ホイールベース=2725mm
■車両重量=1670kg
■エンジン種類/排気量=V8DOHC32V/6156cc
■最高出力=502ps(369kW)/6450rpm
■最大トルク=637Nm(65.0kg-m)/5150rpm
■トランスミッション=8速DCT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:Wウイッシュボーン
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=245/35 ZR19:305/30 ZR20
■車両本体価格(税込)=15,000,000円
■問い合わせ先=GMジャパン70120-711-276

フォト=郡 大二郎/D.Kori ルボラン2022年8月号より転載

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