ゴルフが誕生して以降、常にこのクルマがベンチマークとなってきたコンパクトカー市場。しかし、いまやこのクラスも選択肢が多様化しつつある。そんな中、ゴルフやライバルたちは、どのような手段で自らのポジションを確保しているのか。ここでは、それぞれ固有の持ち味に迫った。
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進化しつつ”基準”を守り続けるゴルフ
動力性能は1Lガソリンでも不足はないが、充実のトルクを持つTDIは、スポーティな走りもまったく苦にしない。
「コンパクトカーの世界基準」という称号を、実に8代に渡って守り続けているゴルフ。実際、その実力はどの世代においてもトップクラスで、個々の性能でゴルフを凌ぐクルマはあっても、客観的に総合力を判断すればその牙城を崩すには至らない……というのが長らくこのクラスの常識だった。
太いCピラーを筆頭とした、ゴルフらしいアイコン的造形を受け継ぎつつ、エクステリアは欧州Cセグメントの王道的仕立てとなる。
そんな、文字通りの”お手本”的な出来映えはもちろん現行型でも変わらない。電動化、デジタル化という時代の流れにはマイルドハイブリッドを筆頭とする堅実な手法で対応しながら、クルマとしての基本性能はしっかりと作り込まれていて、欠点らしい欠点など見あたらないというのが実際のところ。現在の欧州Cセグメント級では中庸なボディサイズ、ハッチバックとしては常識的パッケージングとあって室内は取り立てて広い方ではないし、内外装の視覚的要素に新鮮味があるわけでもない。しかし、実際に使ってみれば何ら不満を抱かせないどころか、時間が経てば経つほどに「これが正解なのだ」と実感させる説得力があることもまた事実。
日本仕様のパワーユニットは、2Lディーゼルと1Lおよび1.5Lのガソリン。デジタルディスプレイを採用、コネクテッド性能を高めるなど、デジタル時代にも対応した。
そして、走りのパフォーマンスについても隙はない。ベーシックな1Lターボ仕様は、適度な軽さを感じさせる身のこなしで良質なツール感を実感させてくれるし、1.5Lターボではプレミアム級とも渡り合える質感と速さを実現している。また、今回の試乗車である2Lディーゼルターボに至っては1クラス上の速さに加えて優れた経済性、そしてディーゼルであることを意識させない洗練度の高さを見せつける、という具合。つまり、どれを選んでもハズレはないわけで、ゴルフならではといえる底力、あるいは”基準”たるゆえんはこうした点からも窺い知ることができるわけだ。
基本的に”飾り気”は控えめな現行型のインテリアだが、シフトセレクターはついにバイワイヤー化。今後の、より本格的な電動化も予感させる。
【Specification】フォルクスワーゲン・ゴルフTDI Rライン
■全長×全幅×全高=4295×1790×1475mm
■ホイールベース=2620mm
■車両重量=1460kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16Vディーゼル+ターボ/1968cc
■最高出力=150ps(110kW)/3000~4200rpm
■最大トルク=360Nm(36.7kg-m)/1600~2750rpm
■トランスミッション=7速DCT
■サスペンション(F:R)=ストラット:4リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:ディスク
■タイヤサイズ=225/45R17
■車両本体価格(税込)=4,088,000円
■問い合わせ先=フォルクスワーゲングループジャパン ☎0120-993-199