






























留学先のカナダで約100万円で購入したワーゲンバス
3年前にクラシック・フォルクスワーゲンの集会で出会った長澤潤平さんは、当時は秋田県でビートルこと「タイプ1」に乗る22歳の公務員だった。2025年6月1日に「Street VWs Jamboree」で再会した彼は、「タイプ2」レイトモデル(通称ワーゲンバス)に乗っていて、まもなくキッチンカーを開業するとのこと。人柄も以前よりかなり明るくオープンになっていた。いったい何があったのだろうか。
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多くのVW乗りに助けられながら北米でキャンプ場巡り
フォルクスワーゲン・タイプ2はタイプ1の基本コンポーネンツを活かしたリアエンジン・リア駆動の商用車として1950年に誕生。第二次大戦後の経済復興を支えただけでなく、使い勝手のいいマルチパーパス・カーとして多くの人に愛されてポップアイコンともなった。いよいよ日本への上陸を間近に控えたVWの最新EV「ID. Buzz」も、タイプ2のスタイルをリスペクトしているのは有名な話だ。
現在25歳の長澤潤平さんの愛車は1969年式のタイプ2で、1967年にモデルチェンジして顔つきが三角から四角になったレイトモデル、通称レイトバスまたはベイウィンドウ。上に持ち上がるポップアップルーフやサイドルーバーを備えた、ウェストファリア社製のキャンパーモデルとなる。適度にカサカサなボディに描かれたピンクのフラミンゴは、長澤さん自らペイントしたのだそうだ。
「公務員でしたが海外に行ってみたくて、2年前にカナダのバンクーバーへ行って1年留学しました。ずっとワーゲンが好きなので、前のビートルは秋田の人に譲りましたが、向こうでも乗りたいと思ってカナダに着いて1か月くらいでこのバスを個人売買で100万円くらいで買いました。でも、故障でめちゃくちゃお金がかかりましたね(笑)。
カナダやアメリカのキャンプ場を巡っていたんですが、途中で左リアのメインフレームが折れちゃって、現地のワーゲン乗りのデーロさんに直してもらったり。いろんな人たちに人に手伝ってもらいながら乗ってました」
独立したばかりのVW仲間の工房でしっかりレストア
留学が終わって、最初はバスを手放すつもりだったそうだが、結局、日本に連れて帰ってきた長澤さん。新たな夢として、このバスでキッチンカーを開業しようと心に決めて、配送業をしながら資金を貯めてきたそうだ。
そしてボディも下まわりもボロボロだったワーゲンバスは、宮城県の蔵王町にあるVWレストアショップ「ATELIER ARTISAN(アトリエ・アルチザン)」の手でリフレッシュすることとなった。ATELIER ARTISANの但木佑成さんは今年で28歳、クラシックVWショップに勤めて2024年11月に独立したばかりで、長澤さんとは東北のVW乗り同士でつながっていた間柄。このワーゲンバスが但木さんにとって独立後最初のプロジェクトでもあった。長澤さんは振り返る。
「ユウセイさんの所で12月から作業を始めて、半年くらいレストアしていました。途中から僕も蔵王に住み込みで一緒に作業しました。カナダで走ってる時もひどい状態だったんですが、下まわりからフロアまで全部レストアして、足まわりはほぼオールニューです。ボディのほうは艶消しな感じですが、下まわりのほうがボディ同色でクリアまで塗っていてキレイに仕上がっています。このイベントの3日前に、ようやく登録できました」
キッチンカー「PAYS」は6月20日に仙台でオープン予定
長澤さんのキッチンカーは「PAYS(ペイズ)」という名で、仙台駅近くのエリアでオープンする予定だ。メニューはタコス、タコライス、ジャークチキンを予定している。取材時には車内はドンガラ状態で店名のネオンサインだけがある状態だったが、6月20日(金)に仙台駅付近でオープンするべく、ハイペースで内装などキッチン設備を準備中だ。
「バスは日本で安全安心に乗りたいのと、キッチンカーとしてちゃんと使えるようにしっかりレストアしました。さまざまな人のおかげで何とかここまで来れました。カナダやアメリカの人のオープンマインドに触れて、自分にとっても生きる上でプラスになったので、このPAYSを通じて、皆さんにもお伝えしていければなと思います」
フラミンゴのワーゲンバスのキッチンカー、PAYSの活動の詳細は、これからInstagram(@pays_bus)で告知していく予定とのこと。仙台に行ったらぜひ探してみてはいかがだろうか。
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