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英国のロールス・ロイス・モーター・カーズは2026年6月2日、ブランドを代表する高級BEVクーペの進化版となる「スペクター・シリーズII」および「ブラック・バッジ・スペクター・シリーズII」を発表した。バッテリー技術の再設計により航続距離を最大18%延長するとともに、充電時間を最大14%短縮している。さらにブラック・バッジ・モデルは、ロールス・ロイス史上最もパワフルな出力を誇り、ビスポーク(特注)の選択肢もかつてないほど拡大された意欲作だ。
【画像45枚】手作業で磨かれた23インチホイール。「スペクター・シリーズII」のディテールを見る
680psと1100Nmの圧倒的パフォーマンス。実用性も飛躍した次世代の「魔法の絨毯」
2022年の導入以来、タイムレスなデザインと静粛性で現代ロールス・ロイスの象徴となったスペクターが、さらなる進化を遂げた。今回のシリーズIIでは、バッテリーセル技術の再設計が行われたことにより、航続距離が最大18%増加し、WLTPモードで最大628kmに達した。同時に、充電時間も最大14%短縮されるなど、電気自動車としての実用性が大幅に引き上げられている。
標準モデルのスペクター・シリーズIIでも最高出力は442kW(601ps)、最大トルクは1015Nmに達し、0-100km/h加速を4.5秒で駆け抜ける。さらに注目すべきは、ロールス・ロイス史上最強のモデルとなる「ブラック・バッジ・スペクター・シリーズII」の存在である。このモデルは「インフィニティ・モード」を選択することで500kW(680ps)の最高出力を解放し、「スピリテッド・モード」では最大1100Nmという驚異的なトルクを発生させる。0-100km/h加速はわずか4.3秒を記録し、ブランドの妥協なきパフォーマンスを体現している。
手作業が磨き上げる23インチホイールと、漆黒に沈む専用マットディテール
エクステリアは、高く評価されているファストバックのシルエットや、特徴的なスプリット・ヘッドランプの造形を受け継いでいる。その造形美を際立たせるため、シリーズIIでは新たに「エセリアル・ブルー」と名付けられたソリッド・エクステリア・フィニッシュが開発された。
足元には、あらゆる角度から光を捉えて反射する、精巧な多スポークデザインの新しい23インチ鍛造合金ホイールが採用されている。このホイールは2.5mmという極めて鋭いエッジを持ち、職人が最大6時間かけて手作業で仕上げを行うことで、ダイヤモンドのような輝きを放つ。
一方、より妥協のない個性を放つブラック・バッジ・スペクター・シリーズIIには、外装のブライトワークのほぼすべてをマット仕上げに変換する「アイスド・ブラック・エクステリア・ディテーリング」が新たに設定された。専用のマットクリアコートを用いることで、スピリット・オブ・エクスタシーやドアハンドルなどがサテンのような質感へと変化するが、パンテオン・グリルのベーンだけはアイデンティティを保つためにポリッシュ仕上げが残されている。ブラック・バッジ専用のホイールも新たに設計され、初めて「アイスド・マット・ブラック」の仕上げが選択可能となった。
竹林の情景や7万超の穿孔が描き出す、限界なきビスポークの深淵
スペクターは、現在のロールス・ロイス製品の中でファントムに次いでビスポーク需要が高く、顧客の創造的な野心に応えるキャンバスとして機能している。シリーズIIでは、その内装の可能性をさらに広げるため、新たな素材や技法が惜しみなく投入された。
初採用となる「デュアリティ・ツイル」は、竹から作られた現代的なレーヨン生地であり、創業者ヘンリー・ロイス卿の旧冬の家に隣接する竹林からインスピレーションを得ている。この内装には最大260万回のステッチと10マイル(約16km)にも及ぶ糸が使用され、完成までに最大25時間を要する精巧な作りとなっている。
また、「プレイスド・パーフォレーション」と呼ばれるレザー加工も新たに選択可能となった。月明かりに照らされた雲のシルエットにヒントを得たこのデザインは、シートに施された7万8138個の無数の細かい穴によって美しいアートワークを描き出す。
ウッドパネルには、廃棄されるはずだった非結実性のクルミ材とユーカリ繊維を組み合わせた「ブリンドルド・ウォールナット」突板が用意され、豊かなタイガーストライプ模様にガラスフレークを混ぜたラッカーを塗布することで、深みと動きのある輝きを表現している。
ダッシュボードには南ダウンズの霧を思わせる8108個のピクセル状の光が流れるイルミネーテッド・フェイシアが備わり、航空機の計器から着想を得た新しい時計とともに、光で演出されたステンレス製のスピリット・オブ・エクスタシーが美しく飾られている。
【ル・ボラン編集部より】
ブランド初のBEVとして登場したスペクターが、早くも「シリーズII」へと歩みを進めた。特筆すべきは、ブランド史上最強となる680psを誇る「ブラック・バッジ」の追加である。完全なる無音の世界に解き放たれる1100Nmという途方もない暴力。この極限の静と動の見事な同居こそが、現代のラグジュアリーが到達した極致だ。竹を用いた新素材や精緻なビスポークの数々は、彼らが単なる電動化ではなく、クラフトマンシップの未来を真摯に見据えていることを雄弁に物語っている。
【画像45枚】手作業で磨かれた23インチホイール。「スペクター・シリーズII」のディテールを見る


