伝統と革新の交差点。教皇レオ14世へ贈られたステアリングが意味する、フェラーリの決意
フェラーリは2026年5月27日、同社のジョン・エルカン会長とベネデット・ビーニャCEOを中心とする代表団がローマ教皇レオ14世に謁見したと発表した。カステル・ガンドルフォの公邸で行われたこの特別な場において、前日にワールドプレミアされたばかりのブランド初となる完全電気自動車(EV)「フェラーリ・ルーチェ」を披露し、敬意の印として同車のステアリングホイールを教皇へ贈呈したのである。
【画像5枚】教皇へ贈られた特別なステアリング。歴史的謁見の舞台に佇む1050psの跳ね馬「ルーチェ」の姿を見る
エンジニアも同席。情熱と未来へのインスピレーションを共有した歴史的対話
5月26日の朝に行われたこの会談には、経営陣だけでなくエンジニアたちも同席した。ジョン・エルカン会長は、フェラーリの仲間たちとともに教皇と面会できたことは極めて感動的であり、計り知れない名誉であったと語っている。
「人間的にも象徴的にも並外れた価値を持つ瞬間であり、情熱と責任、そして未来への自信を持って歩み続けるためのインスピレーションを会社全体に与えてくれた」と述べ、フェラーリの歴史と記憶に永遠に刻まれる出来事であると強調した。
マラネッロの「光」。車重2260kgを感じさせない1050psの俊敏なステップ
教皇にいち早く披露された「フェラーリ・ルーチェ」は、イタリア語で「光」を意味する名の、マラネッロの新章を開く革新的なEVスーパーカーだ。現地時間5月25日の夜更けにローマで初公開されたばかりのこのスーパーカーは、122kWhの大容量バッテリーを搭載し、最高出力1050ps(772kW)、最大トルク990Nmを誇る。
単なる内燃エンジンの置き換えではなく、4つのモーターを用いた独立駆動力制御を採用することで、車重2260kgというEV特有の重量増を感じさせない、実質400kg減に相当する軽快なハンドリングを実現しているという。アクティブサスペンションや独立式4WS、ブレーキトルクベクタリングとの統合制御によって、これまでの内燃機関車を凌駕するほどの俊敏な運動性能を獲得し、0-100km/h加速はわずか2.5秒に達する。
アナログと最新技術の高次元な融合。EVでしか到達できないフェラーリの真髄
ルーチェの革新性はメカニズムにとどまらない。そのデザインには、元アップルの最高デザイン責任者であるジョニー・アイブ氏が率いる「LoveFrom」が参画している。優雅な曲線に包まれたシンプルな造形と大きなグラスエリアが特徴であり、室内空間にはアナログの機械式計器や物理スイッチが必要に応じて配置され、最先端の技術と伝統的な機能美が高次元で融合している。
また、エンジン音を持たないEVでありながら、モーターが生み出す繊細なサウンドをセンサーで拾い上げ、電子的なフィルタリングを施すことで、美しい「フェラーリ・ミュージック」を生み出すことにも成功している。フェラーリは電動化を目的とするのではなく、電動化でしか実現できない価値を追求することで、ブランドの真髄を見事に次世代へと昇華させているのである。
【ル・ボラン編集部より】
全長5m超の巨躯に先進的なディスプレイ。一見するとかつての官能的な跳ね馬の姿はない。しかし、あえて残された物理スイッチや、「操る歓び」を見事に成立させた設計思想はフェラーリの新時代への覚悟と哲学を十二分に感じさせる。今回、イタリアの精神的象徴たる教皇へいち早く実車を披露したことは、単なるPRではない。圧倒的性能を秘めつつ、先進と伝統が共存するこの新世代EVこそが、フェラーリの魂を受け継ぐ正統な後継者であると、歴史的権威を以て世界に宣言したのである。
【画像5枚】教皇へ贈られた特別なステアリング。歴史的謁見の舞台に佇む1050psの跳ね馬「ルーチェ」の姿を見る





