コラム

奇才が描いたウェッジシェイプ。希少な英国3輪「ボンド・バグ」など2台を所有する元サイドカーレーサーの濃密なカーライフ【愛車群像】

1970年式ボンド・バグ700:キャビンは前ヒンジで前方にガバッと開く。
1970年式ボンド・バグ700:全長2794mm、全幅1397mm、全高1270mmというボディサイズ。
1970年式ボンド・バグ700:フロントに積まれ、後輪を駆動するエンジンはリライアント・リーガルのものを流用。
1970年式ボンド・バグ700:フロントが1輪でリアが2輪の3輪マイクロカー。
1970年式ボンド・バグ700:車両重量が400kg程度なので100km/h以上というトップスピードを誇る。
1970年式ボンド・バグ700:エンジンの排気量が700ccなので白ナンバーとなる。
1970年式ボンド・バグ700:キャビンは前ヒンジで前方にガバッと開く。
1970年式ボンド・バグ700:ヘッドライトは丸目ではなく角型のデュアル。
1970年式ボンド・バグ700:センターコンソールのスピードメーターは扇状。
1970年式ボンド・バグ700:フロントに積まれ、後輪を駆動するエンジンはリライアント・リーガルのものを流用。
1970年式ボンド・バグ700:オーナーのKIRIさんはホンダ製エンジンを積んだトライキングJZRもチェックしていたそうだ。

希少な英国3輪マイクロカーの世界

愛・地球博記念公園で2026年6月14日に開催された欧州車の祭典『ミラフィオーリ2026』。会場に集結した250台の中でひときわ異彩を放っていたのが、英国製3輪マイクロカーの「ボンド・バグ700」である。オーナーは元サイドカーレーサーのKIRIさんだ。同郷の「リライアント・リーガル3/30」も所有する彼への取材を通し、奇才が描いたウェッジシェイプの魅力と、英国独自の自動車文化の奥深さに迫る。

【画像22枚】扇状メーターや角型デュアルライトに注目。希少な英国製3輪「ボンド・バグ」のディテールをチェック

40年越しの夢。良縁に恵まれ念願の「ボンド・バグ」オーナーに

「いま73歳なので50年近く前の話になりますが、24~25歳のときにサイドカーレースに参戦していたんですね。富士スピードウェイや鈴鹿サーキットを走っていました。一度やめたのですが、30歳ぐらいで復帰し、もう一回ちょっとだけやりました。ボンド・バグのようなモデルも3輪なので、サイドカー好きとして、ずっと面白いクルマだなぁ~と思っていました」

サイドカーレースを楽しんでいた頃のことを思い出しつつ、懐かしそうに話してくれたKIRIさんによると、英国製の3輪マイクロカー、ボンド・バグ(Bond Bug)に興味を持ったのは40年ぐらい前のことだったのだという。しかし、良縁に恵まれず、購入できたのは昨年の春で、英国にて買いつけてもらったそうだ。

1970年式ボンド・バグ700:フロントが1輪でリアが2輪の3輪マイクロカー。

1970年式ボンド・バグ700:フロントが1輪でリアが2輪の3輪マイクロカー。

「2025年の春に買った1970年式のバグ700が8月に日本に来て、なんとか、その年の秋に登録できました。実は1973年式のリライアント・リーガル3/30も所有していて、こちらは7年ぐらい前に購入しました。バグ700のナンバー(居住地域の3輪車の登録)が18番で、リーガル3/30は15番なんですね。約6年間で16番、17番の2台しか登録されていないということなんですよ」

そのぐらいの台数なので、バグ700を登録するときに窓口の人がKIRIさんのリーガル3/30のことを憶えていたそうで、2台目の3輪マイクロカーであることがすぐさま判明してしまったそうだ。

英国独自の自動車文化を体現する2台の3輪マイクロカーを同時所有

かつて免許や税制面での優遇措置によって、独自の自動車文化を形成していたイギリスでは3輪マイクロカーの需要があった。そのような状況の中で3輪マイクロカーを主力商品としていたリライアント社は1969年にボンド・カーズを傘下に収めた。そう、KIRIさんは、イギリスを代表する3輪モビリティブランドが生産した2台を同時所有しているのだ。7年ぐらい前にリーガル3/30を買うときにバグ700にするか悩んだそうだが、バグ700を先に買っていたとしても、いずれリーガル3/30を増車したに違いない。

1970年式ボンド・バグ700:センターコンソールのスピードメーターは扇状。

1970年式ボンド・バグ700:センターコンソールのスピードメーターは扇状。

「バグ700とリーガル3/30は同じパーツを使っている部分があるんですよ。前方にガバッと開くキャビンを持つスタイリッシュなボンド・バグのデザインは、トム・カレンという名のデザイナーが手がけました。彼は映画『スター・ウォーズ』に登場する乗り物をデザインしたらしいんですよ」

『スター・ウォーズ』にも通じる? 奇才が手がけた未来感あふれるデザイン

そう言われてみるとボンド・バグのウェッジシェイプは他の3輪マイクロカーとは一線を画しているな、と思ったのでトム・カレンについて調べてみたら、オーグル・デザイン・スタジオのマネージング・ディレクター兼チーフ・デザイナーを務め、アストン・マーティンDBSをベースとしたスペシャルモデルやリライアント・シミターGTEをデザインした奇才だった。

『スター・ウォーズ』に関しては、1977年に公開された『エピソード/4新たなる希望』に登場したランドスピーダー(劇中で主人公のルーク・スカイウォーカーが故郷のタトゥイーンを移動するときに使用)のデザインに携わったといわれており、地上から約1mの高さを浮遊して飛行する宇宙的未来乗り物感を見事に表現していた。

1970年式ボンド・バグ700:オーナーのKIRIさんはホンダ製エンジンを積んだトライキングJZRもチェックしていたそうだ。

1970年式ボンド・バグ700:オーナーのKIRIさんはホンダ製エンジンを積んだトライキングJZRもチェックしていたそうだ。

「愛知県にボンド・バグのフルレストアした個体があります。今年中に登録し、走り出すと思います。ボディカラーは私のバグ700と同じオレンジです」

来年開催されるミラフィオーリ2027で2台のボンド・バグが並んでいるシーンを拝めるかもしれないので、いまから楽しみにしておこう。

【画像22枚】扇状メーターや角型デュアルライトに注目。希少な英国製3輪「ボンド・バグ」のディテールをチェック

フォト=高桑秀典/H. Takakuwa

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