新アーキテクチャ採用でミニバンの常識を覆す最高級EV
2026年3月の世界初公開、4月の本国での受注開始を経て、6月にはスペインで生産が始まったメルセデス・ベンツの最高級EVミニバン、新型「VLE」。新開発のBEV専用アーキテクチャ「VAN.EA」を採用した極上空間は、かつてのEQVとは別次元の仕上がりである。次世代グランドリムジンの真価と、日本導入に立ちはだかる重量制限などの「壁」について、モータージャーナリストの今井優杏がスペインでの試乗からレポートする。
【画像87枚】31.3インチの8Kモニターも。別次元のグランドリムジン、メルセデス新型「VLE」のディテールをチェックする
時代が追いついた。メルセデスが放つ本気の最高級ミニバン
スペイン・バスク地方の情熱的な空気の中、報道陣の前に燦然と姿を現したメルセデス・ベンツ新型「VLE」のレポートをしたい。現地で開催された国際試乗会にて、圧倒的なオーラと先進の美学を放ちながら初お披露目されたその姿は、集まった人々の心を揺さぶるに十分だったからだ。
プラットフォームからパワーユニットまで、つまりすべてが完全刷新されたVLEは、かつてのEQVのような既存モデルの電動化という枠組みを完全に脱ぎ捨て、メルセデス・ベンツが世界の市場に向けて放つ「グランドリムジン」と再定義したものだ。世界のベンチマークが本気でミニバンを作ったら、なるほど電動化が正解だったというわけか。つまり、時代がメルセデスの思考にやっと追いついた、と言えるかもしれない。
このVLE、新開発のバン専用BEVアーキテクチャ「VAN.EA」を初採用する。乗り心地の面でもEQVとは「完全なる別物」へと進化を遂げているのは、この高剛性かつしなやかな構造のおかげでもある。床下に115kWhの大容量バッテリーを抱くパワートレインは、電気自動車ならではのスムーズかつフラットでパワフルな走りをもたらす。これがまず、EQVとの“レベチ”を強く感じさせる点だ。
CLA並みの最小回転半径。5.3m超のボディを操る軽快なフットワーク
重厚な車体を包み込む足回りには、電子制御式のAIRMATICエアサスペンションを採用。路面の凹凸やスピードバンプを軽々と受け流し、バッテリーの重さを一切感じさせない柔らかく極上の乗り心地を実現している。実際、ビルバオの道はお世辞にも平らじゃない。この滑らかさこそ、“リムジン”の絶対条件なのだから。
そしてそのボディはまるで小山のようだ。全長5309mm、全幅1999mmという堂々たる体躯でありながら、ステアリングを握ればその大きさにそぐわないハンドリングの軽やかさに驚かされること請け合いである。最大7度切れるリアアクスルステアリング(後輪操舵)の威力を発揮し、最小回転半径はコンパクトカーのCLA並みとなる5.45mを達成。バスクの歴史ある街並みや都市部の狭い路地であっても、巨体を感じさせない俊敏さで思い通りに取り回すことが可能だから、ここは驚いてほしい。もちろん、不安な方にはオートパーキングのアシストも完璧だ。
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