コラム

青汁王子こと三崎優太さんの事故直前の状況はあおり運転だったのか?

あおり運転(妨害運転)の罰則が強化されても減らない危険な運転。2024年4月14日、実業家で青汁王子としても知られる三崎優太さんが自身のYou Tubeチャンネルで、交通事故を起こしたことを報告をしました。動画内で「いわゆるあおり運転っていうんですかね」という発言があったことから、一部報道では「あおり運転を受けて事故」といった見出しで事故があったことを報道しています。今回は、三崎優太さんの事故直前の状況が本当にあおり運転だったのか教習指導員の国家資格を保有する筆者が考察するとともに、あおり運転の被害に遭わない方法や対処法などについて解説します。

三崎優太さんの交通事故に関する動画からわかること

三崎優太 青汁王子 You Tube:You Tube「しばらく活動を休止します。

三崎優太さんの交通事故に関するニュースを見ると「あおり運転」という言葉を大々的に打ち出し、あおり運転によって事故に遭ったと報道している様子を見かけます。

本当にあおり運転が原因で交通事故に遭ったのか本人のYou Tubeを見てみると、「夜に千葉の田舎道を走行しているときに後ろからヘッドライトをチカチカさせるクルマがいて、バイク越しに振り返ってみると、自身が運転するバイクの2〜3m後ろにクルマがいた」とのことでした。また、「非常に車間距離が近く、スピードも速く、激突しそうだった」とも話しています。

つまり、交通事故発生直前にパッシングされ、車間距離を詰められていたということです。

適切な距離を取らず、車間距離を詰めて走行していた場合、「車間距離不保持」という交通違反になります。また、執拗にパッシングをしていた場合は「減光等義務違反」です。そのため、三崎優太さんの事故直前の状況はあおり運転(妨害運転)に該当する可能性が非常に高いといえるでしょう。

三崎優太さんは、走行中の危険行為を受けた後、バイクを加速させ、ガードレールに衝突し怪我を負いました。よって、あおり運転を受けたあと、自身の判断および運転操作ミスによって事故を起こしたことになります。そのため、あおり運転としてクルマの運転者を検挙するのは難しいといえるでしょう。もし、ドライブレコーダーが取り付けられており、相手のクルマを特定できるのであれば、検挙できる可能性はありますが、三崎優太さんのバイクにはドライブレコーダーが装着されていないとのことです。そのため、相手(クルマ)の特定はほぼ不可能といえるでしょう。

あおり運転(妨害運転)の罰則や該当する危険行為

あおり運転(妨害運転)に関する罰則は、2020年(令和2年)6月10日に公布された道路交通法の改正により創設されました。

あおり運転に該当する危険な運転行為をし、交通の危険を生じさせるおそれがある場合には、3年以下の懲役または50万円以下の罰金、違反点数25点(免許取り消し)、欠格期間2年(前歴や累積点数がある場合には最大5年)となります。

また、交通の危険のおそれを生じさせ、高速自動車国道等において、他の自動車を停止させたり、道路における著しい交通の危険を生じさせたりした場合には、「妨害運転(著しい交通の危険)」となり、5年以下の懲役または100万円以下の罰金、違反点数35点(免許取り消し)、欠格期間3年(前歴や累積点数がある場合には最大10年)となります。

あおり運転(妨害運転)となる違反(10類型)

あおり運転(妨害運転)となる違反行為は次のとおりです。

1.車間距離不保持(車間距離を極端に詰める)
2.進路変更禁止違反(急な進路変更を行う)
3.急ブレーキ禁止違反(急ブレーキをかける)
4.追越しの方法違反(危険な追い越し)
5.通行区分違反(対向車線にはみ出す)
6.警音器使用制限違反(執拗なクラクション)
7.減光等義務違反(執拗なパッシング)
8.安全運転義務違反(幅寄せや蛇行運転)
9.最低速度違反(高速道路での低速走行)
10.高速自動車国道等駐停車違反(高速道路での駐停車)

このような運転行為をすると、あおり運転(妨害運転)として検挙されます。

あおり運転の被害に遭わないようにするために

あおり運転の被害に遭わないようにするためには、煽られていると感じたときに速やかに道を譲ることです。ただし、交通状況や道路によっては車線を変更して道を譲ることが難しい場合があります。

車線を変更して道を譲るのが難しいときの対処法は次のとおりです。

・道幅がある道路では左に寄ってクルマを停めて後続車に道を譲る(駐停車禁止場所ではないか確認してから停車させる)
・コンビニやガソリンスタンドなどの店舗の駐車場等に入り後ろから迫りくる危険運転のクルマから逃げる
など

このような方法が有効だといえるでしょう。

ただし、必ずしも上記の方法で対処できるとは限りません。場合によっては、路端に止まったときや店舗の駐車場に入ったときに危険な運転をしているクルマもついてきて、運転者が降りてくる可能性があります。

もし、危険運転をしている運転者が降りてきたら、ドアロックをして相手にドアを開けられないようにした状態で警察に通報しましょう。

バイクの場合は、身を守るのが難しいため、周囲の人に助けを求めるとよいでしょう。具体的には、店舗に入って警察に通報してもらったり、バイクを止めて警察に通報しながら誰かに助けを求めたりするといった方法になります。

最後に、あおり運転(妨害運転)をしている人は、感情的になっている場合が多いです。そのため、火に油を注がないように注意したり刺激したりしないようにするのが重要なポイントとなります。

今回解説してきたあおり運転の被害に遭わないようにする方法を頭の片隅に入れておき、危険な運転をするクルマに出くわしたときは早めに避けるようにしましょう。

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