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2025年春の上海モーターショーで世界初公開された新型「レクサスES」が2026年5月7日、愛知県の「Toyota Technical Center Shimoyama」にてメディアに公開された。全長5140mm×全幅1920mm×全高1555mm、ホイールベース2950mmへと大型化したその体躯は単なるサイズ拡大に留まらず、広さよりも快適性を重視した独自の“空間体験”を追求している。モータージャーナリスト野口優氏がテストコースでの同乗試乗から、BEV時代におけるラグジュアリーセダンの新定義を紐解く。
【画像98枚】これがセダンの美しき比率。日本的な繊細さを見事に具現化した新型「レクサスES」の内外装をすべて見る
なぜ今、セダンなのか。工学的な合理性が導き出した「美しい比率」
約8年ぶりにフルモデルチェンジされた「レクサスES」。本来であれば、先代の正常進化という流れで良かったようにも思えるが、しかし今回の全面刷新でレクサスが狙ったのは、“セダンの再定義”である。
というのも近年は、自動車市場はSUVが中心。実用性や着座位置の高さ、視界の良さなどが魅力となり、かつての王道だったセダンは世界的に存在感を弱めているのが現実だ。そんな中でもレクサスは、あえてESを次世代の電動車ラインアップの先陣に据えた。ここには明確な意図が見える。
レクサスは今回、「Experience Elegance and Electrified Sedan=エレガンスと電動セダンの体験」というコンセプトを掲げた。ここで注目すべきは、“電動セダン”というワードを用いている点だ。ラインナップにはBEVのほかにハイブリッドモデルも存在するから両モデルとも“電動”と一括りにしても問題ないように思えるが、正直違和感が残るのは事実。おそらくレクサスが今回目指した“セダンだからこそ成立する新たな価値”を追い求めるとBEVにたどり着くことを示しているのだろう。その一方で、オーナーの使用環境によってはBEVの所有を諦めざるをえない人のためにハイブリッドモデルも用意したと察しがつく。つまり、BEV版のESこそ本命なのは間違いない。
実際、開発陣はESを“工学的に合理性の高い乗り物”と説明している。低重心と高剛性、優れた操縦安定性に加え、高い静粛性の実現という、SUVでは成立しにくいこれらの特性を、電動化時代だからこそ可能になったラグジュアリーセダンの新定義としようと試みている。
まず驚くのは、そのサイズ感である。全長は5mを超え、ホイールベースも大幅に延長されている。床下に大型のバッテリーを抱えながらもワンモーション風のシルエットや低重心感を強調し、“セダンが最も美しく見える比率”を追求したという説明は強く印象に残った。ここには、昨今BEV化によってSUV化しやすい(クラ○ンのような)保守的なパッケージングへの抵抗すら感じられる。
無機質なデジタル化へのアンチテーゼ。感性に響く「レスポンシブ ヒドゥンスイッチ」
特に興味深いのは、レクサスが広さよりも“空間体験”を強調している点だ。新型ESは“室内をリビングのように使う”ことを重視し、後席の快適性に対して“滞在空間化”にこだわりを見せている。調光式パノラマルーフやリラクゼーション機能付きリアシート、香りや光、音を統合制御した、広い後席を有するパッケージによって、サイズ感のみならず、より心地よく、より上質な室内空間を実現している。
しかもそれらを単なるデジタルガジェットとして見せていない。バンブー(竹)などによる加飾やアオタケの内装色など、日本の文化的な特徴を演出することで、独創性を具現化している。近年のハイエンドEVモデルのどれもが、“未来感”を演出するために無機質なデジタル空間へ向かう傾向が強いが、ESは違う。レクサスはむしろ、“人間の感性に寄り添うラグジュアリー”をBEV時代に再構築しようとしているのは確かだ。
特にそれを象徴するのが、「Responsive Hidden Switches(レスポンシブ ヒドゥンスイッチ)」。近年、多くのメーカーがタッチパネル内にほとんどの操作スイッチを配置させているが、確実な操作性への不満が増えているのは事実。そんな中でレクサスは、物理スイッチを内装に同化させることで、凹凸がない見た目でありながらもスイッチを押す感触を与えることに成功している。これは極めて高く評価できる試みだ。テクノロジーよりも確実性こそ重要であることを示しているのは、ドライバーにとって極めて重要である。
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