コラム

「こんな顔でも月に1万台売れるんです」――16年ぶりの新型エルグランドが見せた極上の走りと、国産ミニバンの“顔”への違和感【渡辺慎太郎のツベコベイワセテ その10】《LE VOLANT LAB》

日産エルグランド
トヨタ・アルファード
トヨタ・ヴェルファイア
フォルクスワーゲン ID. Buzz

アルファード超えの完成度? 新型エルグランドが見せた意地

日産の新型エルグランドに試乗した。全般的にとてもよく出来ていたと思います。そもそも約16年ぶりのフルモデルチェンジなのだから、これで「まあまあ」くらいの仕上がりだったとしたら、それはそれでちょっとどうなんだろうとも思うけれど、さすがにしっかり作り込まれていた。特にこの16年間、好きなようにやられっぱなしだった最大のライバルであるアルファード/ヴェルファイアについては徹底的に調べ尽くしたようで、現時点ではエルグランドのほうが操縦性や動力性能や乗り心地など多くの面で凌駕していると言っても過言ではない。

【画像18枚】あえて手動の2列目シートも。新型エルグランドの隅々まで作り込まれたディテールを確認する
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2.4トンの巨体を完璧に制御する、開発陣の執念と動的質感

以前、「軽自動車は、自動車工学的にあり得ないボディディメンションである」みたいなことを書いたが、このクラスのミニバンだってそれは同じかむしろ軽自動車以上である。全長は5mを超え、全高は1.9m近くもある巨大なボディにたくさんの大きな開口部があって、さらに車両重量は2.4トンを超えている。こんなディメンションのクルマは、ちゃんと走って曲がって止まるようにするだけでも相当大変なはずである。その上、車両本体価格に見合った(約700万円)動的質感も確保しなければならないのだから、開発チームは総力を結集してすべてのバランスがちょうどよく整う場所を、ピンポイントで探り当てたに違いない。

日産エルグランド

いっぽうで、還暦を迎えたひとり暮らしのオッサンには、この手のいわゆる大型ミニバンはもっとも縁遠いモデルのひとつでもある。だから正直、ユーザーがどんなことを期待するのか、どんな装備や機能が求められるのかなど、想像が及ばない部分が多々あるのも事実である。

例えば新型エルグランドの2列目シートは電動調整機能付きだが、前後スライドのみが手動だった。「これも電動にすればいいのに」と思ってしまったけれど、3列目のアクセスの際などに、電動式だとシートがゆっくりジィーっと前方に動いていくのを待たなければならず、その点手動式なら一瞬で一気に動かせるので重宝されると聞いて「なるほど」と納得した。

日産エルグランド

そうはいっても、個人的にはやっぱりどうにも馴染めないのが、エルグランドに限らず、最近の国産ミニバン全般の“顔”である。

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Photo: NISSAN, TOYOTA, LE VOLANT ※イメージイラストは編集部が生成AIで生成したものです。

AUTHOR

1966年東京生まれ。米国の大学を卒業後(株)立風書房に入社、ル・ボラン編集部に配属となる。後に転職してカーグラフィック編集記者、カーグラフィック編集長などを歴任。現在はフリーランスの自動車ジャーナリストとして活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。英国「The Guild of Motoring Writers」会員。

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