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狂気のボライドから優雅な彫刻へ。名車の系譜を継ぐ1600psのブガッティ究極ワンオフ「デストリエ」

ブガッティ、究極のワンオフモデル「デストリエ」を発表

ブガッティは2026年8月6日、同社の特別カスタマイズプログラムにおける3台目のワンオフモデル「デストリエ(Destrier)」の概要を公開した。サーキット専用のハイパーカー「ボライド」をベースにしながらも、空力パーツを極限まで削ぎ落とし、純粋なプロポーションと美しさを追求している。中世の軍馬の名を冠したこの唯一無二のモデルは、8月16日に開催されるペブルビーチ・コンクール・デレガンスにて世界初公開される予定だ。

【画像33枚】全高わずか1mの「スピードの彫刻」。ブガッティ究極のワンオフモデル「デストリエ」の洗練された全貌を見る

ボライドのコンポーネントを流用した「スピードの彫刻」

デストリエは、ブガッティが展開する「プログラム・ソリテール」から生み出された3台目の完全ワンオフモデルである。最高出力1600psを誇る8.0L W16クワッドターボエンジンとカーボンファイバー製モノコックという、究極のトラックマシン「ボライド」のパワートレインと骨格をそのまま受け継いでいる。しかし、そのコンセプトはボライドとは全く異なり、巨大なリアウイングやエアロパーツを取り払い、純粋な造形美だけを追求した「スピードの彫刻」として仕立てられている。

完成したボディは全高わずか1mという、これまでのどのブガッティモデルよりも劇的に低いドラマチックなシルエットを誇る。足元にはフロント20インチ、リア21インチの大径ホイールが装着され、ボライドの18インチから大幅に拡大された。極限まで削ぎ落とされた純粋なボディのボリュームと相まって、静止していても今にも飛びかかろうとする力強い馬のようなスタンスを表現している。

伝説の「タイプ57」の歴史を受け継ぐデザイン

このモデルの背景には、ブガッティが誇る名車「タイプ57」の歴史が深く関わっている。かつてタイプ57のシャシーは、ル・マンで優勝した純レーシングカーの「タンク」と、世界で最も美しい車と称賛される「アトランティック」という、全く異なる2つの傑作を生み出した。ボライドとデストリエの関係もまさにこれと同じであり、ひとつのシャシーから2つの全く異なる表現が生み出されたことを意味している。室内にはこの繋がりを永遠のものにするべく、両車を描いた手作業によるレーザー刻印のプレートが備わっている。

外観のデザインボキャブラリーも新たな段階へと進化している。ブガッティの象徴である側面のCラインは、フロントホイールアーチの手前で一度途切れてボディの素地を見せるという、まるで呼吸をするかのような新しいアプローチが採られた。フロントにはボライドより幅広の馬蹄形グリルが与えられ、リアには「シロン・プロフィレ」を彷彿とさせる優雅に溶け込んだウイングが採用されるなど、攻撃性よりも抑制と気品を重んじた顔つきとなっている。

特別色「サファイア・セレスト」とこだわりのディテール

ボディカラーには、この車と一人のオーナーのためだけに特別に調合された「サファイア・セレスト」と呼ばれる深みのあるブルーが採用された。塗料にはダイヤモンドから着想を得た輝きが加えられており、ポリッシュ仕上げのアルミニウムパーツがその洗練された色合いにエレガントなコントラストを与えている。このブルーは、のちに黒く塗り替えられたことで知られる「ポープ」アトランティックの本来のボディカラーに対する、歴史的なオマージュでもある。

フロントスプリッターやリアディフューザーに見られる露出したカーボン素材も、ボディカラーに完璧に馴染むように特別に着色されている。さらにエンジンルーム内の金属パーツには、中世の騎士が身につけた手打ちの鎧を連想させるハンマード(打ち出し)仕上げが施されるなど、車名の由来である軍馬の世界観を細部にまで宿している。

テーラーのアトリエを思わせるビスポーク空間

インテリアは、モータースポーツに特化したボライドの無骨なコックピットとは打って変わり、高級なテーラーのアトリエが持つような静かな温もりに満ちた空間に仕上がっている。内装には時代を超越した温かみのあるブラウン「アンブル・ヴォヤジュール」のレザーとヌバックが惜しみなく使われた。そこに細い銅の糸を編み込んだ先進的な3Dニットテキスタイルが組み合わされ、キャビン全体を光の輪のようにシームレスに包み込んでいる。

エクステリアで用いられたハンマード仕上げの金属パーツは、ドアオープナーやエアコンの吹き出し口、ステアリングホイールのハブ、エントリープレートという室内の4つのタッチポイントにも反復して採用された。給油口のキャップには「1/1」の表記とともにエンブレムが刻まれるなど、すべての表面がたった一人の人物のためだけに誂えられている。圧倒的なスペックを持ちながらも、デストリエの真髄は絶対的な速さではなく、プロポーションとクラフツマンシップの極致にあるのだ。

【ル・ボラン編集部より】

かつてタイプ57が、サーキットを制した「タンク」と稀代の美しさを持つ「アトランティック」という二面性を見せたように、現代のブガッティもまた、狂気のトラックウェポンたるボライドから、優美な「スピードの彫刻」デストリエを派生させた。1600psという圧倒的なパワーを内に秘めながら、外観は極限まで洗練され、気品すら漂う。この相反する要素の共存こそが、ブガッティの底知れぬ深淵である。単なる速さの追求を超え、自動車を芸術の域へと引き上げる歴史的系譜がここにある。

【画像33枚】全高わずか1mの「スピードの彫刻」。ブガッティ究極のワンオフモデル「デストリエ」の洗練された全貌を見る

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
Photo: Bugatti
LE VOLANT web編集部

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