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【国内試乗】最高峰のハイパフォーマンスSUV。異次元であり唯一無二「BMW XMレーベル」

XMの上位モデルXMレーベルが登場。ニッチなモデルの最上位なだけに乗る前から覚悟はしていたが、まさに異次元。都内でのクルージングおよび箱根ターンパイクで攻め込んだ印象をお届けしよう。

ワインディングロードでは恐ろしいくらい速い!

屋上屋を架す。決して肯定的な意味では使わないフレーズだけれど、乗って唸って思わず浮かんだ言葉がそれだった。M専用スーパーSUV XMに追加設定された「レーベル」である。

クーペ調のシルエットや六角形のデュアルエキゾーストなど、Mの最上位SUVに相応しい逞しさとスポーティネスを内包している。

M1以来となるM専用のスタイリングを与えられた──。XMについて語るとき必ず添えられる謳い文句だが、後付けだと思ってよく、Mだって本当はCSLの他にも本格的なスポーツカーをデビューさせたかったはず。けれども結果的に“そういうこと”になった。

電気モーターのみでは約105kmの走行が可能(WLTCモード)。エンジンはベースのXMよりも70ps、100Nm高められ(電気モーターは同じ)、まさに最上位のパフォーマンスを発揮する。

だからと言ってXMの価値が薄れるわけじゃない。BMW Mが誇るSUVラインナップのフラッグシップとしてその存在感は、デザインも性能も圧倒的だ。ただでさえ特別なモデルだというのに、そしてまだほとんど街では見かけないモデルなのに、さらにその上のグレードが登場したのだから、冒頭のフレーズを思い浮かべてしまった。仕方ないじゃないか。

インテリアはエクステンドレザー・メリノフィオナレッド/ブラック、トリム類はMシグネチャー・カーボンファイバーが標準でセレクトされる。

M専用のプラグインハイブリッドシステムを搭載したスーパーSUVの性能をさらに上げる。そう聞くと大抵は「モーター出力を上げてチョチョイのチョイ」だと思われる方も多いはず。違う。XMレーベルではV8ツインターボエンジンのスペックを引き上げた。バッテリーやモーターはそのままなのだ。果たしてそのスペックは、スタンダード比で大体100ps&100Nmアップだと思っていい。ちなみに限定モデルのレーベル・レッドは赤い差し色を随所に使った化粧直しバージョンである。

パワーユニットはV8ツインターボとPHEVシステムの組み合わせで、合計の最大出力は748ps、最大トルクは1000Nmを発揮。

都内のホテルで受け取り、テストへと走り出す。インバウンド勢からの注目度は抜群だ。ハードな乗り心地であることは覚悟していた。スタンダードグレードより期待できる要素がリリースを見る限りなかったから。でっかい車輪に薄い黒ゴムを巻いただけ(実際そう見えるけれど)のような乗り心地は、他のスーパーSUVたちとは一線を画すスパルタンさである。これがMの今だ、というアピールかも知れないと思えば少しは納得できるか。否、やっぱり硬い。さらなる覚悟が必要だ。

足元は23インチのアロイホイールを装着。

とはいえノーズの動きはサイズや重量を感じさせないもので、意外に都内の道で苦労することはない。上屋が揺れることなく前輪が自由にかつ素早く動くことが自在感を生み、取り扱いのしやすさにつながっているのだと思われる。
一般道でのソリッドささえ我慢できるのであれば、その他の環境では上々のドライブフィールである。たとえば高速道路やカントリーロードといったある程度高めの速度域で巡航できるような道路なら“やや硬い”程度の印象に収まってくる。メインで走る場所を選ぶ、という意味でもスーパーなSUVである。

「イルミネーテッド・ルーフ・ライニング」は、立体的なプリズム構造のデザインと間接照明により幻想的な雰囲気を演出。

なかでも箱根ターンパイクのような高速ワインディングロードでは、恐ろしいくらいに速い。同じような速度で駆けぬけるスーパーカーとはまるで異なる高い視線のまま、自分が思っているよりも速く曲がっていく(つまりそれだけ安定している)ので、今まで感じたことのない入力が身体を襲うのだろう。加速の鋭さと強烈さに息を詰まらせ、コーナリング速度の尋常ならざる速さに腹の具合がおかしくなりそうだった。

ラゲッジスペース容量は通常時で527L、後席をフラットにすれば最大1820Lまで拡張される。

制動もなかなかのものだ。力、フィールともに有り余るパワートレインスペックを支えるにまずは十分なブレーキングをみせる。これだけ重量があるとサーキットレベルでの走行でどうなるかは分からないが、少なくともワインディングロードをそれなりの速度で駆け登っていく限り、問題はない。
いつもとは違う視界でのあまりの速さに頭がくらくらし始めた。スーパーカーならもういっちょと思う場面でも、今日のところは勘弁してやろうという気になる。自分のクルマだったとしたら、どんなふうに思ってしまうのだろう?

【SPECIFICATION】BMW XMレーベル
■車両本体価格(税込)=24,200,000円
■全長×全幅×全高=5110×2005×1755mm
■ホイールベース=3105mm
■トレッド=前:1720、後:1685mm
■車両重量=2730kg
■エンジン形式/種類=S68B44A/V8DOHC32V+ツインターボ
■内径/行程=—
■圧縮比=—
■総排気量=4394cc
■最高出力=585ps(430kW)/6000rpm
■最大トルク=750Nm(76.5kg-m)/1800-5400rpm
■モーター形式/種類=GC1P28M0/交流同期電動機
■モーター最高出力=197ps(145kW)/6000rpm
■モーター最大トルク=280Nm(28.6kg-m)/1000-5000rpm
■燃料タンク容量=69L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=8.5km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:275/35R23、後:315/30R23

問い合わせ先=BMWジャパン TEL0120-269-437

フォト=篠原晃一 ルボラン2024年4月号より転載

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