試乗記

【比較試乗】「ポルシェ911 カレラ4S vs ランボルギーニ・ウルス vs ロータス・エヴォーラ vs シボレー・カマロ vs マツダ・ロードスターRF」世界中のアスリートたちが集結!

CHEVROLET CAMARO SS/シボレー・カマロ

アメ車に乗りたくなってきた!

 

カマロの何がスゴいって、超アフォーダブルなこと。輸入車では1psあたりのお値段が激安、レクサスRC Fと比べてもざっくり3割引。それでいて、LT1型V8エンジンは6.2Lの排気量を頼りにパフォーマンスを得ているワケではなく、6500rpmまでシャープに吹け上がり回転数でパワーを稼ぎ出している。組み合わせる10速ATは切れっ切れだし、LSDや電制サスを標準装備。しかも、シボレーMyLinkインフォテイメントシステムやBoseプレミアム9スピーカーオーディオシステムなど快適装備まで充実。(萩原秀輝/H.Hagihara)

実は最高の友となれる一台

パワーこそ453psと現代のハイパースポーツと比べれば少ないが、これが不足といえば絶対にウソ。さらに617Nmのトルクをぶちかませば、細かいことはどうでもよくなる。ゆったりしたサスペンションはしかしマグネティックライドダンパーがもたらす減衰反応の良さをもって、この速さを受け止める。思った以上にその操作性は良好なのだ。普段はのんびり。しかしきっちりスポーツできる大排気量FR車としてカマロは、実は最高の友となれる一台ではないか? 6.2Lの税金を払っても手に入れる価値はある。(山田弘樹/K.Yamada)

豪快さこそがアメリカンの魅力

“ガバッ”とスロットルペダルを踏むと“ドドドーッ”と加速して“エイヤ”でステアリングを切れば“ガガッ”と向きをかえる。カマロは(というかアメリカのスポーツカーやスポーティーカーは全般的に)、走りの表現に擬音がよく似合う。この豪快さこそがアメリカンスポーツカーの魅力であることをメーカーもお客も分かっているし、他国とは決定的に異なる美点でもある。それでも現行のカマロは昔に比べればずいぶん細かいコントロールができるようになった。やんちゃを忘れない成熟した大人みたいである。(渡辺慎太郎/S.Watanabe)

コスパに優れた万人向けクーペ

アメリカンスポーツの象徴であるコルベットに対して、カマロは半世紀以上に渡って実用性や快適性、価格も重視した万人向けのクーペとして市場に受け入れられてきた。シャシーが大きく進化した近年、本国では700ps超えの強烈なモデルも用意されるが、それは限られた一部好事家のものであって、このクルマの趣旨は肩肘張らず気持ちよく走るというのものだ。搭載されるV8も飛ばすのではなく流してハマるリズム感で整えられている。そういう緩めの世界観を確信犯で備えるクルマは本当に少なくなった。(渡辺敏史/T.Watanabe)

V8のSSは胸のすく加速を披露

日本では20代からも熱い支持を受けているのが話題となったカマロ。映画『トランスフォーマー』の影響があるのは間違いないところで、そこが入り口の人にとっては2?直4ターボでもまったく不満はないだろうが、やはり大排気量V8を搭載するSSの魅力は捨てがたい。普段乗りでは重厚感のある回り方をしているが、アクセルを踏み込んでいくとシュパンッと切れ味鋭い回転上昇を見せ、まさに胸のすく加速を披露。シャシーも骨太感があってミズスマシのようにコーナーで向きをかえるのが気持ちいい。(石井昌道/M.Ishii)

LT1ユニットの吹け上がりが快感

乗るたび思うのは、アメリカンスポーツをナメちゃいけないということだ。特にSSは、そのLT1ユニットの吹け上がりが快感。OHVも、これまたナメちゃいけない。しかもシャシーが秀逸。電子制御でなだめすかせるのではなく、FRの基本に忠実な挙動が自然と正しい運転に導く。それは操縦のリアリティにも繋がっていて、ゆっくり走っていても充足感、濃密だ。コンペティティブドライビングモードなどの仕掛けも興味深いし価格も最高にリーズナブル。スポーツカー好きなら、一度試してみるべし。(島下泰久/Y.Shimashita)

フォト=柏田芳敬/Y.Kashiwada ル・ボラン2019年11月号より転載

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