試乗記

【比較試乗】「ポルシェ911 カレラ4S vs ランボルギーニ・ウルス vs ロータス・エヴォーラ vs シボレー・カマロ vs マツダ・ロードスターRF」世界中のアスリートたちが集結!

クルマ好きにとって、「スポーツカー」という響きは特別だ。スタイリッシュなフォルム、刺激的なエンジンサウンド、さらには愉悦のドライビングプレジャーなどなど、それだけで気分は高揚してくる。ここでは世界各国を代表する6台のスポーツカーを集め、各々の個性を深く掘り下げてみたい。

PORSCHE 911 CARRERA 4S/ポルシェ911 カレラ4S

カレラの日本上陸が楽しみ

スポーツカーの絶対的なベンチマークが、またも基準を塗り替えてしまった。クルマが目指した方向性はタイプ991とほぼ変わらないと感じるが、それだけにハードウェアの進化ぶりが如実に出ていて、タイプ991に乗り換えると想像していた以上に古さを感じてしまう。このインパクトは大きい。ただし、高性能化が進んで全体のタッチが少々ドライになってしまった感はある。その意味ではカレラが楽しみ。そして右ハンドルだとせっかくのドライビングポジションの良さが……好きな方を選ばせてほしい。(島下泰久/Y.Shimashita)

911は怪物のようなクルマだ

RRの911は後ろ寄りの重量配分ゆえにメリットもデメリットもあるが、長い歴史の中での進化は、デメリットを潰すことが主だった。比較的に新しい997ぐらいでもフロントへ荷重を与えることを少しは意識させられることもあるが、991ではトルクベクタリングで折り合いをつけ、992では後輪ステアでさらに進化。しかも自然な感覚を伴っているのがすごい。加えて911のデイリーユーススポーツカーという面での熟成度も凄まじく、そこらの高級乗用車では太刀打ちできないほど。怪物のようなクルマだ。(石井昌道/M.Ishii)

場面を問わず気持ちよく走る

ドイツを代表するスポーツカーであり、世界のスポーツカーの範でもあり続ける911。運動性能的には完璧とはいえないパッケージを技術でカバーし続けてきた半世紀以上の歴史には頭が下がる想いだ。そして最先端・最新鋭でありながら普遍的という稀有な立ち位置を確立したのは水冷世代の功だろう。日々の移動から週末のサーキットまで場面を問わず気持ちよく走るその多用途ぶりは進化の歩を留めない。民主的というには速すぎ高すぎの感もあるも、992は努めて911のポリシーに忠実で居続けている。(渡辺敏史/T.Watanabe)

いまだにスポーツカーのお手本

後軸からリアのオーバーハングにかけて質量のあるパワートレインを置くという、ヨー慣性モーメントの観点からすれば圧倒的に不利なパッケージにもかかわらず、モデルチェンジの度に期待を裏切らない進化を遂げ、いまだにスポーツカーのお手本として君臨するその様には呆れるほど尊敬する。誰にでもどんどん乗りやすくなって、911に対する大衆への間口が広がることがいいのか悪いのかはよく分からないけれど、車両本体価格だけはどんどん大衆を置き去りにする設定になっていることだけは確かである。(渡辺慎太郎/S.Watanabe)

理想的なエンジンに進化

カレラにおけるターボ第二世代となった992は、しかし無粋なレスポンス遅れなど全く感じさせず、むしろ低速からトップエンドまで隙のないリニアリティをもつ理想的な内燃機関へと仕上がった。またシャシーも完璧で、日常域での快適性が非常に高い。その反面ボクサー6の荒ぶれた鼓動や、RRの片鱗といった趣味性の部分が感じ取れず、一見すると刺激が足りなく映る。しかしこのシャシーが持つ潜在能力は恐ろしく高い。本気で走らせる舞台さえあれば、GT3いらずの走りを披露する隠れた主役だと思う。(山田弘樹/K.Yamada)

いい911として進化してきた!?

いい911ってどんなクルマなんだろうか。進化を繰り返しても、911はいいクルマになってはイケナイという宿命を負っている。一時期いいクルマを目指したことがあったけれど、ポルシェの開発メンバーもちゃんとそのあたりは心得ていて方向性を修正してきた。駆動方式はベースをRRとして、エンジンはフラット6。そんなこだわりが、クセのある姿勢変化をもたらす。ただ、最新モデルはクセが薄らいでしまったかな。カレラ4Sだっかからかもしれないけど。エンジンは、まさにカミソリの切れ味!!(萩原秀輝/H.Hagihara)

フォト=柏田芳敬/Y.Kashiwada ル・ボラン2019年11月号より転載
LE VOLANT web編集部

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